ベストピア
月刊ベストピア

2010年 2月号 第276号

最上のわざ

この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、
失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう―。

若者が元気いっぱいで神の道をあゆみのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること―。

老いの重荷は神の賜物。
古びた心に、これで最後のみがきをかける。まことのふるさとへ行くために―。

おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは、真にえらい仕事―。

こうして何もできなくなれば、それを謙遜に承諾するのだ。
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。それは祈りだ―。

手は何もできない。けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために―。

すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と―。

 ~ヘルマン・ホイヴェルス~

(1) 完販「わたしの幸せ、あなたの幸せ」

 私が最初に出版した本は、賃金体系に関するものでしたが、評価に苦悩しているときに出会った心理学「交流分析―(TAという)」にのめりこみ、 岡野嘉宏先生(故人)の指導を受け、教科書的に書き上げたのが「わたしの幸せ、あなたの幸せ」でした。
 ちょうど50歳で日本創造教育研究所にお世話になっている時でした。改訂を重ね、1999年に新版とした本が、今月完販いたしました。実に20年近く細く長く売れ続けてきました。
 文字の一杯詰った本で、時代に沿ったものではありませんでしたが、地下深いところで、浸み出る水のように続いてきたことに誇りを感じています。
 この本を講座のテキストとして用いてくださっている蔦谷文宏様から、1月終りに50冊の注文をいただきました。在庫を調べてもらったら、 66冊あるということでしたので、注文にはお答えすることができたのですが、私は蔦谷さんにメールを送り、最後の注文を30冊にしていただくようにお願いしました。 30冊位は手元に記念に残しておきたかったのです。発送した翌日、鳥取の㈱ランドサイエンスの会長さん遠藤道紀氏から「わたしの幸せ、あなたの幸せ」を30冊送ってほしいとの連絡を受けました。 「えっー、そんなことってあるの」と驚きの一言、そして絶句しました。お断りすることができない位に、お世話になっている方からの注文です。 嬉しさと手離す寂しさを同時に感じながら、お電話を申し上げ、実情を話し、20冊送らせていただくことにしました。かくて、今、私の手元に13冊残っています。 2刷の予定はしておりません。飛ぶように売れる商業ベースに乗るものではありません。出版先にも迷惑をかけることはできません。幸せに終焉を喜んでいます。
 しかし、不思議なことなのです。この本の題名にふさわしく、幸せの種をたくさん蒔いてきました。その終りが、あっという間に喜びを持っておとずれたこと。 今年に入って私には良いことがたくさん続いています。種が実り、幸せに満ちた人生の節目です。神の恵み(気運とでもいえるのでしょうか)の時、問題解決能力が正しい方向に発揮されていることを実感しています。 第一線は退いていますが、判断力は現役時代の比ではない程に冴えています。そんな状況の中で、一つの有難き終りに感謝をしています。

(2) 目標に向って大切な中間管理

 2月7日(日)初めて社会保険労務士の国家試験を目指す人々の集まりに参加してきました。一番の年長であったことは間違いありませんが、以外に年輩者が多いのに驚きました。 私のように趣味的にチャレンジしている人が多いのでしょうか?ともかく資格をとりたい若い人と机を並べて、極めて美しい講師の話を2時間半にわたって聞かせていただきました。
 久しぶりに「いい講師だった」内容もよかったのでしょうが、目を輝かせていた自分がそこに在ったことは自覚できました。
 試験日が8月22日(日)らしいということで、これも私には有難いメッセージ、私は29日(日)と予想して、8月末に詰っているスケジュールをどうこなせるか杞憂していたところへの救いの知らせでした。
 さて、チャレンジを決意したこの国家試験は10科目という広い幅、暗記することが多い、それなりの深さも要求されるという内容で、合格率は7%ということ、何を言われても驚いている暇はない、 とにかくインプットを早く完了せねばならない。社労士試験界でインプットとは、10科目の知識を頭に入れること(知識の定着)、アウトプットとは過去問にあたり、知識の表現をするということらしい。 「インプットされた以上のものはアウトプットされない」この法則をしみじみと感じているところです。
 知識の定着は年を重ねるほどに難しくなる。新しい情報は入ってきても波にのまれる砂の如くに流されてしまう。流水に文字を書くような根気が必要である。 ある根気の領域を乗り超えると少しずつ文字が見えてくる、だんだんに鮮明になっていく、それが楽しいのです。
 受けている通信教育には、1科目終わるごとに添削問題があり、それを提出することによって、現在の理解度を知ることができる。すでに7回を終えていますが、一度も百点が取れていない。 これはかなりショックなことで、何とか百点をとろうと工夫するのですが、戻ってきた封筒を開けるときはドキドキする。今度こそは満点だろうと思って封筒にハサミを入れる、取り出す。 “ガーン―なぜ百点でないのか。”ショック、そして今度こそは百点をとるぞと気を取り直して勉強をはじめる。10代の少年のようなことを、今もくり返している自分が偉いと思う。 ちなみに7回の平均点は91点、理想と現実の差を痛いほどかみしめている毎日です。
 朝から晩までここに集中しているわけではなく、仕事も、行政への奉仕もしなければなりません。12月から1月の2ヶ月間は、賃金専門委員会の長を務め、賃金ダウンと大幅な人員減を内容とする提言をまとめました。 それに要した時間と神経は並々ならぬものでした。今も心の傷を感じながら、毎月2回、行政の監査の仕事をしています。
 日本も世界もどんどん厳しい方向(平和でない方向)に進んでいます。苦しむ人が増え続けています。そんな時にあって、私は今年は人生で最高の年になると予感しています。 毎日が有難くて感謝一杯の日々です。60代前半の苦悩の時代が偽のように思われます。心に掛かるものがなく、どんな話題にも集中できる心の状態にあることの幸せをかみしめて、 明日は何が起きるか判らない、何が起きてもかまわない「覚悟と感謝」が今年の私のキーワードです。

小原 靖夫