2009年11月号 第273号
リンと鳴く鈴虫の如く
1.第三の人生への道
私の家は箱根の外輪山の東側の人里離れた林中にある。住みはじめて15年になるが、清澄な空気は心のけがれをも洗い清めてくれる。
早朝は季節の鳥の声に目覚め、秋の夜長はさまざまな虫たちの合奏が魂に浸みる。
月の夜は静寂の輝きがある。幸せな日々である。リンリンと鳴く鈴虫の如くに第三の人生にチャレンジしたい。
2.社会保険労務士試験合格を目指す
8月31日コンサートの帰りに天啓の如くに目標が与えられた。それは2010年8月29日に社会保険労務士の試験に合格する。それから2ヶ月、目標に向かってまっしぐらに進んで。
69歳での合格である。
他にやりたいことはたくさんあるが、今まで考えてもいなかった目標が啓示されたことになる。目標には必ず動機がある。その動機は何かと自己に尋ねてみた。
答えは“すっきりさせる”という一言であった。
大概、やりたいことはやらせてもらい、やってきた。悔いはないと思っている。
今年になって相談を受けるテーマが労務管理の諸問題、私の一番苦手とするものである。賃金体系は研究してきたが労務問題は避けてきた。
労働基準法の何たるかも気にすることのない経営をしてきたが、その経営の立場を離れてからは荒海からうね寄せる大波のような労務問題に息絶え絶えになっている。
その度に、有能な専門家に尋ねれば事足りるのであるが、「今更人に聞けない話」が多すぎてモヤモヤする日々が続いていた。
自分の馬鹿らしさに癖々としたのが正直な気持ちである。このモヤモヤした気持ちを持って、この世を旅立つのは嫌だ!と感じた瞬間に、それを晴らすためには知識が必要だ、
それなら社労士への挑戦だ!! 一瞬にして決断、すぐ実行に移った。
ひとり隠かに取り込むことは、中断の危険性があることをよく知る自分がなしたことは、公言することであった。
自分に対して言い訳をすることのできない環境をつくることも前進のエネルギーになる。多くの若い人々に自分の目標を発表した。
後戻りできないそれが実はあたり前の人生なのだということも実感した。精読と暗記と忘却のサイクルでは足りず、通信講座のテキストを読み録音し、
移動時間は耳からも覚えられるように工夫を加えている(耳鳴りは大きくなり、難聴は進んでいるが、これは仕方のないこと)。
たのしい毎日である。どれだけ忘れられるかを尺度としていくと、あっという間に時間が過ぎて、電車を乗り過ごしてしまいそうである。
東京から戻りの「ひかり号」には乗らないようにしている。乗り過ごすと次は名古屋である。
3.目標のもつ意義の再確認
目標は集中力を高める。目標に合わないことをしなくなる、無駄な買い物、無駄な時間の過ごし方をしなくなる。これらをまとめて言うと、行動に目的合理性が生まれるということである。
目標は潜在能力を高める。記憶することを放棄していた脳に、覚えるという刺激を与えることによってニューロンのつながりがはっきり判るようになってくる。
物忘れの頻度は大幅に改善されている。頼まれたことはすぐに着手でき、人から喜ばれ、信頼が高まる。年だから物忘れは仕方ないという甘えから解放され自信がつく。
目標をもつと楽しくなる。どれだけできたか、できなかったを評価できる。できなかったことにチャレンジすれば、自分の目標である限り、必ずできるようになる。
これは、若い時には判らなかった境地である。若いときの目標は何かのための手段であった。例えば豊かな生活をするために資格をとる等であり、どちらかと言えば苦しみの方が多かったように思える。
目標をもつのに年齢制限はない。今更と人によく言われるが、他人のためでない、自分の楽しみにチャレンジ性のあるレベルにある目標(低い目標でなく、
ある程度難しさのあるもの)は生き甲斐感を増す。私の母は70歳で習字を始め、見事な文字を残してくれた。この年になっては、目標は何でもよかったのだ。与えられたのは天啓なのだと思っている。
4.恩師のひと言、偉大なるかな
しかし、この天啓の道を開いてくださったのが、やはり恩師の滝沢陽一先生(85歳)であった。 透析をはじめられて2年になられるが、闘病だけに終わらず、常に何かにチャレンジされており、ある時、ある事柄について「モヤモヤしていることがある。 このまま天国に召されるのはすっきりしないことがあるので、それをしたい」ということで内容をお聞きすると、「今更何を・・・」と感じる位のことであった。 先生のそのような生き方に私は感動を覚えた。些細なことでも気がかりなことはスッキリさせて、納得しておきたいという感性は85歳になっても感じられることなのだ。 私のモヤモヤを晴らすという動機も、滝沢先生のこの生き方に触発されている。
5.目標と目的の違い
ここで日頃感じていたことだが、目的と目標は違うことの再認識があった。
今回の私の場合、目的はモヤモヤを晴らすことで、その手段として目標が設定された。これは歩くという目標が健康になるためという目的の手段であるのと同じことである。
目的には動機がある。それは千差万別である。公序良俗に反しない限り、何でもよいのである。
2ヶ月の成果で気づいたことは、嬉しんでいる自分、学びながら、他人から見れば苦しんでいるように見えても心底嬉しんでいる自分がいること。
結果を恐れていない、報酬も求めていない、自分のための自分による目標その為に合理的に時間配分をしている、11月は8回もコンサートが入っている(この予約を入れたときには、
確たる目標が無かった。思えば無謀なスケジュールである)。全て楽しめる時間配分ができる自分の力を信じることができるようになっている。
更に無謀の驚きは、この目標をもつ1ヶ月前に、2010年6月1日~15日の海外旅行の特典航空券を予約している。
これは由あってキャンセルできない。これも折込み済で、来年の8月29日の試験に標準を合せて仕事にも励んでいる。時代は私を暇にしてくれない、これは本当に感謝である。
日本経済の現状
1.誰でも知っていること
(1) 11月10日、財務省は国債と借入金、政府短期証券を併せた国の債務残高(借金)が9月末時点で864.5兆円となり、
前回発表の6月末から4.3兆円増え、過去最大を更新したと発表した。来年3月末には900兆を突破するのは確実である(西日本新聞)。
コンピュータ上にリアルタイム財政赤字カウンターという画面がある。それによると11月16日13時現在897.5兆円となって秒速でその増加状況が表示されている。
(2) 2005年1月20日の経済財政諮問会議で「構造改革が進まなければ」日本は5年後に財政破綻すると発表している。間もなく、その5年を迎えようとしている。
(3) 人口減少社会になっている
コスト競争力を原動力にした薄利多売の大量生産・大量消費の産業構造で日本がこれから新興国に勝てる見込みは全くない。
(4) 少子高齢化で年金制度が崩壊する
JALの退職者年金カットは特例法で実施される見込み。年金は既得権ではない、保障されるものではないことが証明されつつある。
(5) 鳩山政権が手をつけていないこと
95兆円の予算を目前にしても、抜本的な支出削減には踏み切れないジレッタさを多くの国民が感じている。
国会議員を半分にする、公務員給料を20~30%カットする(民間間格差を縮める)位すれば、国民感情も真に日本という国の大切さを知るであろう。
2.現実味を帯びてきたネバダレポート
ネバダレポートとは、日本をIMFの管理下においた場合の再建プログラムで、2002年2月14日、第154回国会の予算委員会で民主党議員が明らかにした。
- 公務員の総数の30%カット、及び給料30%のカット、ボーナス全てカット
- 公務員の退職金は100%すべてカット
- 年金は一律30%カット
- 国債の利払いは、5~10年間停止
- 消費税を20%に引き上げ
- 所得税の課税最低限を年収100万円まで引き下げ
- 資産税を導入して不動産には公示価格の5%を課税、債権・社債については5~15%の課税、株式は取得金額の1%を 課税。
- 預金は一律1000万以上のペイオフを実施し、第2段階として預金額を30%~40%財産税として没収する。
3.長期金利と金の上昇には注意
ハイパーインフレの前兆なるものとして、私がかねてから誌面で取り上げてきたこの二つが上昇し始めている。
金は1オンス1.111円。長期金利は1.50%に迫っている。
財務省は非常に懸念するとコメントしているが、国民には何をどう懸念しているのか判らない。
日本は再び外からの改革でしか再生しないのか。あるいは自力で再生する道を捜し出すか。
いずれも全ての国民に激痛を押し付けることになる。後者の方が痛みは柔らかく、立ち直りも早い。自律して自立の道を選びたいものである。
