2009年4月号 第266号
1 散りて美し
今年の桜シーズンが例年より長く、不況で沈む人々の気持ちを、寸暇なごましてくれました。
ひらひら ひらひらとほこらし気に舞い落ちる かれんな花びら
うっすらと桃色をおびて 惜し気もなく散ることに ほこりすら感じさせ
ひらひら ひらひらと風に舞い 地につらなって美しく
川面に浮んでまた美しく お堀に落ちて群をなし なめらかな曲線を描き
色とりどりの縞模様を 刻々と形を変え 美が成熟して 何かを訴えて
今年も消えていった世界の桜たちに ありがとうを申そう。
小田原城のお堀は一周しておらず半周の形をしていることに、はじめて気付きました。
お堀端の桜が散り、水面に落ちると風によって川面がゆらりとなり、桜の花びらを動かします。
私が見たときは、左へ左へと流され、秒単位で花びらの数は増え、更に流れて端まで旅し、そして押し返されて、
水の流れに逆らわず丸くなり、その面を大きくしながら、美しい曲線を造りだし、そこに太陽の恵みが加わり、木の陰が、鮮やかに写し出される。その瞬間を目に焼き付けました。
翌日に同じ場所に行きますと、川面に厚味が出て、神々しい美しさはなくなっていました。更に翌日(4月12日)同じ場所に行きますと、桜の花びらは殆どなく、
いつものお堀になっていました。これ以上漂うとお堀の流れに迷惑がかかるのでしょう。来年も同じ美しさが復活します。4月10日の美しい瞬間の一コマを写真に撮り掲載してあります。
桜も紅葉も散りますが、その散り方に意味を与えるのは人の心。心広き人は幸いなり。
ほこらしく 小池に散りて花笩 群れ流れ行き 花絨緞
大脱出
1 失われなかった7年
世界同時の金融恐慌の波が、庶民の生活にじわじわ押し寄せています。
そんな中で、私にとってはその前から続いていました粗々しい洞察からの脱出ができました。
4月23日、やっと本ができました。7年ぶりの出版です。とてもうれしいです。
私の60代は、色に例えるなら灰色で、実りは少ないものでしたので、早く脱出したいと念じていました。
時というものは過ぎてしまいますと無駄なものは何もなかったといいうるわけですが、渦中にいるときは悟りが開けません。
ただひたすらその時その時を、精一杯生きることの他に道はありません。私の60代も無為であったわけではありませんが、前進する目標がありませんでした。
私と妻の母の昇天、個人事業の廃止という、この世的には静または終りに直面して、自分の心の中を整理することが主な7年間でした。
整理の主のことは、捨てることですが、これはなかなか厄介なもので、勇気がいったり、あきらめたり、時には自暴自棄と戦ったり、そしてそんな自分が嫌いになっていったりしました。
人生の後半において、そんな波からやっと出られるのですから、これは大脱出だと感じています。
これには多くの人から励ましをいただき、やっとの思いで答えることができたのですが、特に重田直治君の、控え目ながら、冷静で的確な暖かいフィードバックが、
私に新しい道を示してくれました。
2 重田直治兄の励まし
新著も彼にどれほどの苦労をかけたか判りません。80%は彼の力で出版できるものです。
少ない言葉で、私に次のステップを示してくれるのです。そのステップは、私が納得しているものを何気なく示してくれ、又、私が誤っているときは、
それとなく正してくれておいて、気紛れで気分屋の私の文章を改めてくれました。
これらのことは、本の出版に関してばかりでなく、日常直面する生活上の諸問題、仕事上の困難さ、行き詰まりの打開等、広い局面で助けをいただきました。感謝しています。
私のもてるものは全てマスターしてくれているだけでなく、彼の旺盛な研究心、さらには高度なIT技術を駆使して、幅広い応用力、複雑系の問題解決型の理論に発展しています。
本著で用いている図表をはじめ、コンピュータソフトの作成、評価基準書の作成も全て重田君の手によるものです。
これからは若いエネルギーで時代を超えていかねばなりません。
さて、著書の名は「超」賃金ダウンです。
賃金ダウンが目的ではなく、それを超えることを目標的にしたもので、各章の内容は次のようになっています。
3 『超・賃金ダウン』
各章の概要
第1章
賃金ダウンの根拠を明確にする。誰にもあてはまる公式のない適正人件費に挑戦しました。
経営側から考える適正人件費(経営分析的側面)。社員側から考えた適正人件費(公的資料からの分析)。
適正人件費は戦略的にしか決められない、だから経営計画が必要である。何をしていいか判らない時代だからこそ経営計画と戦略が大切である。
第2章
職場とは何かを原点に戻って考え、倒産と戦う意欲と勇気を持ってもらうことを願い、職場に流れている3つのもの、お金の流れ、
情報の流れ、感情の流れの相関関係、マズローの欲求段階説、ハーズバークの衛生理論を解かり易く訴えるように書きました。
第3章
経営理念を理念経営にする。お題目になっていることが多い経営理念を実践して理念経営にする。
その為の一つの選択肢としてOBM(オープンブックマネジメント)を記しました。部下への権限委譲がトップへの信頼感を深める。
権限委譲の効果性について調査した慶応大学区商学部の資料を付け加えました。
第4章
評価のダイナミズムによる職場革命。評価が企業文化を刷新するための具体的な手段であること。
査定とは異なる評価の本質、評価なくして人は育たず、評価アレルギーの誤解を解くことを狙いとしました。
第5章
職場における評価の3側面。ここからは実務篇です。
(1)業績評価はMBOと関連付ける。成功とは、前もって定めた価値ある目標を段階を追って実現すること。
(2)情意評価。人生は愛と意志のドラマを評価するもの。
(3)能力評価。保有能力と発揮能力の双方を評価する。私の考えるコンピテンシーにも少し触れました。
第6章
賃金体系。やる気を掘り起こす戦略的人件費の作り方についての実務的解説。
職能等級の新しい考え方、作り方を提案しました。その会社の実情に合った等級制度にするための、簡便にして実務的かつ実践的な方法です。
第7章
賃金ダウンは苦渋の選択。実際に行う、納得性のある賃金ダウンの仕方について具体的に述べました。
賃金ダウンを行う中にあっても人を育てる評価システムが生きること、必要なことを強調しました。
小原靖夫著 <東峰書房より出版>
