ベストピア
月刊ベストピア

2007年6月号 第256号

日本が直面していること(その2)

 前号に引き続き、日本が直面していることを常識ベースでまとめてみました。問題意識はハイパーインフレの可能性です。
 中国の5月12日の四川大地震がどのように世界と日本に影響するかも、目を離せないところです。

 長文になりますので、2回分に分けて掲載しています。

  1. 政治の局面では特別会計を取り上げます(5月号)
  2. 経済の局面では国家の債務を取り上げます(5月号)
  3. 外国からの影響を取り上げます。まず米国、そして中国の順にします(5月号)
  4. 中国からの影響(5月号)
  5. 原油と食糧の高騰(5月号)
  6. 環境問題(6月号)
  7. 人口と労働力の問題(6月号)
  8. 文化教育、日常生活の諸様相(6月号)
  9. ハイパーインフレの可能性はあるか(6月号)

6.環境問題。

(1)異常気象
 これは日本ばかりの問題ではない。 06年5月、国連は「異常気象は人間活動による地球温暖化が原因で起こっている可能性がある」と初めて指摘した。
 07年4月、日本の気象庁は天気予報に使う用語を改正し最高気温35℃以上を「猛暑日」としたり、 「落雷害」「熱中症」など災害や健康への注意を呼びかける言葉を追加した。都市部ではヒートアイランド現象が加わる。 「2030年東京の夕方6時の気温は43℃を超える」と予測されている。

(2)食糧問題への影響
[1]異常気象は干ばつや洪水などの災害をもたらし、食糧生産や経済活動に多大の悪影響を及ぼす。 07年2月、オーストラリアでの干ばつは小麦の収穫量60%ダウンとなる被害をもたらした。今の小麦の高騰の原因がここにあります。
[2]海水温上昇によって、漁業にも影響が出ている。黒潮の大蛇行、すなわち本州南方の黒潮が東海沖で大きく離岸するという現象で、 03~04年にマイワシ、05年にはカツオとシラスの水揚げが激減しています。
 温暖化の影響で潮流が速くなって、サンマのような小さな魚が太平洋沖に流され、日本海での漁獲量が減少すると言われています。
[3]おいしい米の産地が変わっていることに人々が気づき始めている。 北海道産の米の売れ行きが新潟産を上回って首位になったのが、06年8月で九州の稲作は危機になっています(「2020年の日本からの警告」から引用)。

(3)巨大地震の可能性
 短い周期で中規模の地震が続いているが、最も警戒されている東海沖が不気味に鳴りを潜めている。
 私は小田原に来て30年を過ぎましたが、その間の平穏無事なことに感謝をしています。小田原地震の70年説が延び延びになっているのです。
 しかし油断大敵「災害は忘れたころにやってくる」、備蓄対策に怠りがないか点検が必要になっています。

(4)新型インフルエンザの脅威
 北京オリンピックの大敵となる新型インフルエンザは、驚異的な空気感染力でもって各国に被害をもたらすと報道されている(この詳細は前月号254号を参照)。 5月の連休に東南アジアに旅行された方は要注意である。
 鳥インフルエンザはすでに日本に上陸していることが報じられています。

(5)中国から越境汚染
 黄砂と酸性雨による農業被害が各地で出始めている。
 健康への影響も心配され始め、花粉に黄砂が混じればより重症な花粉症に悩ませることになるかも知れません。

(6)フォトンベルトの謎
 本当に起これば全世界が一瞬にして影響を受ける。その被害は無測のようだ。 書店にも「2012年12月22日」という本は多く出回っていますが、米国航空宇宙国NASAの発表によれば、 2012年~2013年にかけての冬期に北極の温度が上がり、ホッキョクグマが絶滅する恐れがあると発表している。
 インカ文明の暦では、この日までしか記載されていないと言われている。
 このことを馬場政英氏に話したら「じゃその日にマチュピチュに行きましょう」と言われ、 年をも顧みずその気になっているところですが、冗談になればいいと祈るばかりです。

7.人口と労働力の問題。

(1)減少に歯止めのかからぬ日本の人口
 世界の人口は1年間8,000万人。一日20万人のペースで増加しており、それ故に世界的な食糧危機が問題となっているなかで、 日本の少子化傾向はおさまらない。人口の逆三角形ピラミッドになって一番恐ろしいのは生産者年令(15才~60才)人口の減少です。 これは労働の質の低下を加速することになり、日本の経済力に著しい影響を及ぼします。

(2)社会保障システムがどうなるか
 現行の我国の社会保障システムは現役世代が負担することになっています。 2017年には団塊の世代が全て保険料支払者から保険金受取者の時代に変わります。 これを受けて年金支給開始時期を65才に引き上げたり、雇用延長を65才に義務づける法律が用意されています。 消費税率のアップも射程距離になっています。

(3)非正社員比率の上昇
 この現象がもっとも著しいのが社会福祉業界です。 平成18年障害者自立支援法の成立によって社会福祉という言葉が消えました。 今までのやりすぎた援助を減少させるということで、各施設は生き残るためには正社員(正職員)を減らしてパート、 バイトに切り替えないと経営がやっていけないことになりました。当事者は断腸の思いで改革を実行してきました。
 民間企業は株主尊重(高い配当)の観点から固定費の削減を余儀なくされ人件費の抑制政策を始めたのです。 この結果賃金の上昇は抑えられ、労働の質は低下し、生産性は上がらず特に中小企業を中心に企業倒産が増加しています。

(4)ニートは誰が創り出したのか
 ニートの出現は若者の価値観が多様化したために生まれてきたものだという考えが一般的になっているようで、 ニートになった本人の責任というのが自立型社会における見方です。
 しかしそうなのでしょうか。終身雇用制度の崩壊と新卒者の就職「氷河期」(2000年)を創り出し、 若年層の新規雇用を切り捨てた企業側の責任があると私は考えています。 その結果は10年を待たずして新規採用の困難な時代となり、優秀な人材の確保と定着に途端の苦しみを味わうこととなっています。

(5)長期ビジョンを捨てた「つけ」
 労働力問題に限りません。ここに取り上げていること全体に共通することは組織も個人も短期の成果に目を奪われてしまい、 長期ビジョンを捨てたことによる「つけ」が今到来していると言わざるをえません。 しかし、短期から長期の切り替えは全ての人が実感するように極めて困難なのです。

8.文化教育、日常生活の諸様相。

(1)生命への畏敬を忘れた現象の増加
 毎日のニュースを見るのをはばかる凶悪犯罪や自殺者の増加は多くの人々の心に痛みを与えているが、 どうしようもないという閉塞感にもさいなまれています。
 なぜこのような現象が増長されるのか、ひとえに教育の問題です。教育と言えば、その水準ばかりが取り上げられますが、そうではありません。 端的に言いますと、ごく基本的な幼児教育です。宗教的な観点からの「価値観の幼児教育」が欠如していることに尽きます。 では誰がそれをすべきかと言えば、申すまでもなく両親であり、両親による良心の教えこそが基幹であります。その両親の生活はどうなっているのでしょうか。

(2)享楽的文化の助長するTV番組
 今日では日常生活はTVを代表とするマスコミに無意識に支配されています。 朝起きて最初にすることから寝る寸前ですることを振返って見ると多くの方々が気付くことです。 TV番組はSQCTで95%以上占められています。S(スポーツ)、Q(クイズ)、C(料理)、T(旅行)が悪いというのではありません。 人生とは、命とはを考える暇がなく情報に流された楽な生活が基本になっています。 乳児を持つ母親の第一の使命は子育てです。しかし長期ビジョンを忘れさせられていますから、どうしても目先の楽しさに流される傾向にあり、 面倒な価値観の教育が忘れがちになっています。

(3)訴訟社会に変えられてしまった
 最近の映画「大いなる陰謀」の一節に某大統領の言葉として「平和と正義のどちらが大切かといえば、それは正義である」という意味の場面がありました。 これは誤っているのではないのですが「正義とは何か」が常に捨像されているところに問題があります。 (正義のための罪は聖戦として許されるか)難しいことはさて置いて、社会生活の中で争われる部分が多くなっている。 それに備えて弁護士の数が増加しています。官僚や政治家を訴えやすい仕組みが期待されます。

(4)産科、小児科の医師不足
 少子化が原因であると言われていますが、そればかりでなく出産時のアクシデントの全ての責任を問われたり、 乳児の検診アクシデントを問われる小児科の医師のなり手が著しく減少しています。このことが更に少子化に拍車をかけ、 加えて医療福祉への政策冷温化が重なって悪循環が起きています。

(5)格差社会が更に進む
 教育水準の低下が歎かれていますが、その一つの原因は教育格差が深刻になっていること、もう一つは幼少期からの食事、 あえて言えばファーストフードの日常化は栄養のバランスを損なうことになっていると想像されます。 これらは富の格差が原因で今後更に進むでしょう。年収300万は良い方で、200万のワーキングプア層が増加の一途です。 どんなに格差が開いても革命が起きないような社会構造も進んでいます。

(6)管理統治社会の完成度が高まる
[1]住基ネットの交付が思うように進まないので政府は躍起になっています。突破口になったのは税務署でした。 電子申告の推進が税理士会を通して強力に進められ、電子申告比率で税務署長が評価され、 税理士会はこれに協力しなければ独占業務権を剥奪すると脅されています。 住基ネットは社会保険、パスポート、運転免許証等の一元管理に役立つ便利なものです。 そこには病歴、納税歴、資産形成歴も把握されますから二重診療もチェックされますし、 脱税の防止にもなりますのでまさに社会正義のために推進されねばなりません。
[2]電子マネーの便利さはスイカ、パスモ、エディといった交通機関を利用する人々には実証済みです。 もう忘れると面倒でイライラしてしまいます。なくてはならないカードになってしまいました。 わたしは便利さに加えて超一流のマイルコレクターになりヨーロッパへの旅行はファーストクラス(無料特典)を楽しんでいます。 現金(実物)なしで物が買えるというのは便利なようですが裏側には魔物がついているようなもので、 何でも買えるという錯覚をしてしまい気が付いたら多重債務者になる危険性がありますが、なぜか社会がこぞってカードを勧めるのです。 そこで必要なのが暗証番号やID番号、パスワード等で番号がないと買い物ができなくなりそうです。 番号が無いと買い物ができないということを世界で一番初めに記したのがヨハネ黙示録だと思います。 「小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧しい者にも、自由な身分の者にも奴隷の者にも、すべての者にその右手か額に刻印を押させた。 そこでこの刻印のある者でなければ、物を買うことも売ることもできないようになった。この刻印とはあの獣の名、あるいはその名の数字である。 ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるのかを考えるがよい。数字は人間を指している。 そして、数字は666である」(13章16-18)
[3]管理の目的は何か。今のところ便利さが実感されすぎて管理されているという意識をもつ者は少ない。 だから何ら強制力をもたずに、積極的にカードに参加していっています。当面の目的はいろんな意味と範囲での行政コストの低減でしょう。 例えば、健康保険の二重診療チェック、投薬チェックで医療コストが抑えられます。徴税コストも著しく低減するでしょう。いいことだらけです。 しかし個人情報が為政者によって瞬時に判明されます。宗教は何かということも判るようになるでしょう。 言論、思想、信仰の自由も為政者の掌中に入ってしまいます。 こうした情報を集めるために個人情報保護法を作っておいて国民に安心感を与えているのですが、情報を売る官僚や政治家が出てくる危険性もあります。 情報がお金になる時代です。管理の目的は為政者のポリシーによって変わるのでしょうが、どんな時に何でも用いることができるように情報を集めるのが現段階です。 再軍備の時代には、若い人の徴兵制度にもすぐに用いることができます。例えば、18才~25才でフリーターの人を検索する。 それに健康の度合いを入れたり、思想条件を入れて再検索すると今すぐ抵抗なく徴兵できる人の名前がリストアップされることになります。

(7)生活面からその他
 まず消費税率のアップが2008年末、平成21年度の税制改正として表面化するでしょう。 税率は10%。実施は平成21年(2009年)4月1日でしょう。 これは国民にすでに洗脳されていることですから一部の反対はあっても順当に採決され国民に受け入れられることになるでしょう。 各国は国債の償還か社会保障かどこまで明確になるかが興味深いところです。

9.ハイパーインフレの可能性はあるか。

 日本が直面していることを8つの局面から、常識的な知識でアナログ的に概説してきましたが、その目的はどこにあるかを申しますと、 日本にハイパーインフレの可能性があるかどうかの問いに応えることでした。

(1)ハイパーインフレとは、国家破綻すなわち国家の使命である。国民の健康と財産を守ることの放棄を意味します。
 ハイパーインフレはBC2004年に崩壊したシュメールの時代にもありました。それは政治家官僚の途方もない無駄遣いが原因でした。 これはその後も同じことの繰返しで、人は個のベースから人類のベースに至るまで、繰返しを好むようにインプットされているようです。

(2)ハイパーインフレは経済の範疇のことですから、もっと具体的に言わねばなりません。 すなわち国の借金が増えて返せなくなる、その時に出す国家への徳政令がきっかけで起こる超インフレのことです。
 1億円を100円に読替える方法としては、預金閉鎖と新円発行をした、昭和21年2月の事例があります。
 この時国の借金はGDPの3倍を超えたと言われます。GDPを500兆円として国の債務が1,500兆円を超えると、その時と同じ状況になります。
 地方債務を含むとすれば、それは間もなくやってくるわけです。政府がプライムバランスを崩さないと努力しているのは、 国債の純増加を避けているわけです。
 預金封鎖の準備は完成しています。現在でも預金から1日に引き出せる金額は50万円とされ、人々は慣れています。 この1日を1ヶ月に変えるだけで、政府の目的は果たせることになります。
 外貨の送金も100万円以上は書類手続きが必要になっていますから、自由に外国への送金もできなくなっています。

(3)当面注意すべきは、国債が増加していないかと長金利が上昇していないかを観察することだけが私たちにできることでしょう。

(4)海外発のリスクも高い
 米国と中国の経済環境を見るように双方ともバブル状態ですから、弾け方によっては日本は直撃されることになります。
 サブプライムローン問題はその前宵戦と言えるでしょう。
 中国からの影響も直撃です。天変地変もその引き金になります。政府は自ら引き金を引くことはないでしょう。 外から天災がその引き金を引いてくれるのを待っているのではないかと思います。

(5)希望はある
 ハイパーインフレは「ご破算で願いましては」です。ご破算にすべきことをしっかりとご破算にすれば希望はあります。
 それは特別会計を本当にご破算することです。
 真に人民の為の政治がなされれば、忍耐強く工夫力のある日本国民は、小さな光を大きく輝かせるまでに成長すると確信しています。

 ハイパーインフレは恐れるに足らず本当に恐いのは特別会計制度であると申して、終わります。