2007年12月号 第250号
若さを保つ秘業
サミュエル・ウルマンの有名な詩「青春」の一部に「年を重ねただけで人は老いない理想を失うとき初めて老いる」があります。
高齢社会での生き方を予言したかのような名文です。その言葉どおりに生きている方も少なくありません。
(1)91歳で卓球をする人
91歳で卓球を猛練習して大会に出場しようとしている皆木タミさんに出会い,練習場を訪ね写真を撮らせていただいた。
卓球はインドアであるが,瞬発力を必要とする激しいスポ-ツです。
一瞬としてとどまらず相手の動きと作戦を予見して瞬時の判断とその判断に基づく行動が同時になされるので脳と身体の双方の老化防止になると
考えられているスポ-ツです。
85歳のときあることが契機となって卓球をしようと決意し,どこで教えてくれるか思いあたるところに「電話をかけまくりました」といいます。
その電話をとったのが中尾瞳さん(現在60歳,県指定の卓球コ-チ)でした。
非常に高いト-ンの若々しい声で「是非とも,是非とも」卓球がしたい、教えてほしいと懇願するので81歳の人もやられているので大丈夫です。
一度見に来てくださいと返答したところ「私は85歳です。絶対に断らないで下さい。この電話で断らないと言って下さい。そうしたら行きます。」
との固い決意が通じて県指定の卓球教室の存在感あふれる生徒になり今年で6年になります。
現在の練習時間は月,木曜の4時間中尾さんの指導を受け,自宅では卓球マシンを相手にかなりの練習をしています。
ユ-モアに富んだ明るい,周りに良い影響を与える力を豊かにもっている人です。
卓球マシンが自宅にあると聞いて私も驚きましたが,その動機は周りに迷惑をかけたくない程度に上手くなりたい。
いつも中尾先生を独占するのもよくないと思っていたら,家のポストに卓球場の特別セ-ルのチラシが偶然に入っていた。
「そのチラシを見てすぐに中尾先生に電話をしました。一緒に買いに行って欲しいと」メ-カ-品でそれなりの価格だったので中尾さんが
もっと安いものを勧めたら「死んだら寄付できるくらいの価値あるものを私は買いたい。
お金はここにある」と言って年金で積み立てた預金通帳を渡したのです。
「私は明日はわからん,今日を楽しみたい」との強い言葉に中尾さんも動かされてその楽しい買物が終わったということです。
(2)若いときの苦労を越えて
中尾さんはタミさんの生涯を少し知っておられたのです。
1945年満州に行っていた夫の生死もわからぬまま7歳と3歳の二児を連れて朝鮮から引き揚げてきて親子が住みこんで
働けるところを捜し飯塚炭鉱の寮母となり「玄関と台所で2畳そして6畳の部屋がいただけ、幸せで幸せで涙が出た」といいます。
それは八軒長屋でトイレは共有という私たちには悲しい炭鉱物語が想起されるのですが、タミさんは感謝の念が湧いていたのです。
夫が無事に引き揚げて同じところで働くことになりましたが、1965年廃鉱となります。
めげることないタミさんは,知慧がワクワクと湧きだし,廃材をたずさえて福岡市へ移動し再利用して学生向けの下宿をするために6戸一棟の
建物を二棟建て業とされるのです。この恩恵を受けた九州大学の学生さんは幸せであったと私は実感します。
(私も同じようにして3畳一間の下宿で大学生活を始めたのです。横浜で月3,000円(食事別)昭和35年でした)
1978年(62歳)で下宿業をやめ,一男三女も結婚し,タミさんの第二の人生が始まります。まず始めたのが新美体操です。
91歳にしてこの姿(写真)ですから30年前は艶容にして清美に一層の輝きがあったことでしょう。
相当の実績を残されているようです。(初対面の私にはまだ話してくれませんでした)
(3)老いを越えて
2000年に卓球を始める契機をなった事故が二つ起こります。
電動自転車に乗っていたところトラックと軽く接触して倒れるという事故,区役所へ行こうとして歩いていたらひったくりにあって財布を盗まれる事故が重なります。
そこでめげることのないタミさんに天恵がひらめき「注意力が足りなくなっている。
これをあげるためには一つの小な球を追うことだ」ということで卓球が始まるのです。この方には闇をも光に変える力が備わっている。
その源は一言では言えませんがユ-モアの力です。ユ-モアとは「~にもかかわらず笑うこと」です。
この力がどこから湧いてくるのか、それは興味、関心、好奇心ひらたく言えば「何でも見たがり、何でも聞きたがり、
何でも知りたがる欲望」それはよりよく生きたいという感性の本質に由来します。
感性ある故に生きている私たち。与えられているものは平等ですが生かしている人は少ない。
そんな反省をしながら私はタミさんに最後のありふれた質問をしました。「若さの秘密は何ですか」と。
即答が返ってきました。「年寄りぶらない」 絶句!!
日野原重明先生の小田原公演
(1)感動の公演
12月4日あの有名な日野原重明先生が小田原市民会館で1,000名の聴衆の前でユーモアたっぷりの公演をされた。
96歳で医師としても現役でのご活躍は世界的にも知られた奇蹟の一つと考えていました。当日私が最も驚いたことはお声のはつらつとした若さでした。
目をつぶって聞いていますと青年の声に聴こえるほどに会場の隅々に響きわたりました。
50分近いお話を立ったままで演壇を動きまわり、
感動を呼ぶお話をされ最後には合唱団を指揮してご自分の作詞作曲された「ニューエルダリーの歌」を聴衆を巻き込んで指導されました。
(2)小田原市民とのかかわり
日野原先生と県西地方の関わりの一つは、中井町にあるホスピス・ピースハウス病院です。 ゴルフ場に隣接した4,000坪の自然に恵まれた西に富士山を仰ぎ見ることのできる高台に「安らぎの家」として開設されたのが1993年9月でした。 “生を完遂する有終の美のために”終末医療の先駆的な実践です。 2005年1月にはピースハウス病院内に訪問介護ステーションを設けて住宅療養の方々のニーズにきめ細かく応え、 小田原市を含む3町3市の在宅ホスピスケアの機能を果たしています。
(3)新老人の会の普及を目指して
2007年9月75歳以上を新老人と定義し、次のような目的を持った新老人の会を立ち上げてくれた。 75歳以上をシニア会員、60~74歳をジュニア会員、20~59歳以下をサポート会員として次の世代を築く若い世代に向けて、 1)自立、2)世界平和、3)ボランティアとして医学医療に貢献することなど強いメッセージを発信しています。
目的
1)本会は、日本の過去のよき文化や習慣を家庭や社会に伝達し、次の世代を引き継ぐ者がより健やかに成長することを育成する役割を担う。
2)本会は、20世紀の負の遺産である戦争体験を語り継ぎ、貧しさや苦境の中から得た貴重な体験を次の世代に伝え、世界平和の実現に寄与する。
3)本会は、自らの健康情報(身体と精神及び習慣)をヘルス・リサーチ・ボランティアとして提供し、医学・医療の発展に寄与する。
4)本会は、健やかな第三の人生を感謝して生きる人々が、新しい自己実現を求めて交流し、心豊かに晩年を過ごすことを支援する。
5)本会は、国民に過度に発展した文明の利用に限界があることを気づかせ、与えられた自然の恩恵の中に生きる喜びを共に体験し、
真の教養を身につけたよき生活習慣による望ましい生き方の普及を図る。
小田原の公演で先生の大きな目的が私には確認できました。それは、武力を持たない裸の世界平和の実現です。
これは途方も無く政治家には実現不可能なことです。しかし歴史は復讐に復讐をもってする武力の拡大が平和をもたらすことはなく、
戦争の拡大と人民犠牲でしかなかったことを教えています。
愚かなことあざけり笑われる裸(武力を持たないということ)を尊重している唯一の日本国憲法を守るには会員を10万人規模にすることが先生の意図にあります。
現在1万人にも至っていませんが、全国行脚し新老人の会員を拡大していくことがこれからの先生の使命であると訴えられました。
(4)若さを保つ秘訣について
60歳の還暦は人生の晩年が始まるのではなく本当の新しい人生が始まるのだということを哲学者マルチン・ブーバー氏の 「人は創(はじ)めることを忘れなければ、いつまでも若くある」という言葉に触発されて新しいことへの挑戦こそが体は老いても心の若さは続く という確信に至られ今は多くの人に知られているように多様な分野での活躍となっています。小田原で共に歌った「ニューエルダリーの歌」をご紹介します。 キーワードは「愛して創めて耐えもして」が繰り返されています。
1.われらニューエルダリーの会に集い
こころを合わせ 肩を寄せて
愛して 創めて 耐えもして
価値あるいのち 共に分かとう
2.シニアもジュニアもサポーターもが
こころを合わせ 腕を組んで
愛して 創めて 耐えもして
希望を持ちて 共に進もう
3.われわれの命が輝くため
きらめく星を 仰ぎ進もう
愛して 創めて 耐えもして
世界に平和を もたらせよう
(5)新老人の会の事務局
財団法人ライフプランニングセンター「新老人の会」
〒102-0093
東京都千代田区平河町2-7-5
www.lpc.or.jp
年会費は1万円です。
色々な活動をされていますので、興味ある方は一度アクセスしてみてはいかがですか。
250号を越えて
本年は私にとって近年にない忙しい年であったように感じています。こんなはずでは無かったのにと言うのが正直なところです。
しかし、私の口癖の一つには はずははずれる がありますから、それを自ら実践したに過ぎません。
合併初年度でもあり、お客様の不安と不満の渦巻く中、体力の限界に挑戦した年でもありました。
年末にいたって、何とか納得頂ける所までこぎつけることができたと考えています。
私だけの問題ではなく、世の中の動きが激しいため、お客様の身辺も大きな変化の波の上にあり、その影響は、
苦楽を共にしているだけに小さくありません。誰にも代わってもらえない貴重なことが多く、仕事の内容は知識レベルではなく智慧レベルで、
やり甲斐のあることで、その体験が即ち学習となって次の難問を解きほぐすエネルギーになっています。
ベストピア250号も途切れる危機を幾度も乗り越えて、年末押し迫ってやっと書き終えることができました。
251号は年賀になりますので、今まで同様に発送させて頂きます。
252号からはWEB上に書き込みます。詳しいことは1月にお知らせいたします。
年末に気になること
政治の退廃や経済の低迷については情報が氾濫していますので積極的に発信することを控えておりますが、 一つ気になることがあります。それは円安傾向です。アメリカの経済状況が極悪という情報にもかかわらず円安が続いています。 日本の方がもっと悪いということなのでしょうか。私の感覚を後押しするかのように1ドル99円説がでていますが経済も何が起こるか解りません。 藤原直哉先生は今日の状況を断層の崩れる寸前と言われています。目の離せない年末です。 2008年がどのようにして始まるのか来年も新年はヨーロッパで迎えます。
税制改正セミナーのお知らせ
日時 平成20年2月15日
午後1時30分~3時30分
場所 小田原商工会議所大ホール
テーマ
1 税制改正 相続税関係 株式譲渡益課税等
辻本郷税理士法人 第12部門部長 宮村百合子
金の買い方入門
予 定 小原靖夫
専門家を考えていますが、ベストピア 書けないことも併せて小原靖夫になるかもしれません。
接 点
詩:坂村真民
わ た し が
尊 ぶ の は
接 点
光 と 闇 と の
接 点
夜 と 朝 と の
接 点
生 と 死 と の
接 点
わ た し の 詩 は
こ の 接 点 の
火 花
